BLネタはゲイ・ホモネタとは異質(御茶ノ水男子をきっかけとして)☆

最近の流行なんでしょうか。ホモネタをやるコンビってのが、ほんとーに今時の若手には多い気がします。
特に、Age 芸人にはホモネタやるひとが多いし、チーモンチョーチュウもそのうちの一組だと思います。腐女子受けを意識してるのかと思ってたんですが、どうも違うようです。よしもとオンラインとかで、腐女子っぽい人から、寝坊して遅刻してる菊地氏への罰ゲームとして提案された白井氏がちゅーして起こす、みたいなのに関して露骨に不快感示してましたもんね。
チーモン白井氏はシチサンライブではバキュームとかいう、ゲイ向けアイドルユニット作ろうとか言ってるし、どうもゲイネタはゲイ受けがいいとか思ってそうな気がします。もちろん、それが女性客に受けてるのは分かってるとは思うんですが。

つまりはチーモンの発言なんかを見ると、ホモネタっていうのはあくまでも、男性がイメージするホモソーシャルな男性同性愛者のネタで観客にもホモを想定しているものであったわけです。

ところがホモネタ関係でも、ここ最近面白い人達が出てきてしまいました。どうも女子と視線を共有しているような芸人が現れだしたんです。 言うなれば、女子が喜ぶ性的倒錯パロディーを売り物にしたコンビたちです。(御茶ノ水男子メルヘン倶楽部など)

御茶ノ水男子は、BLネタと銘打ってやっていますが、あれはあくまでも女子向けのマンガのネタをパロディーにしてやってるわけです。本当のゲイの人をネタにするのではなく。BL自体が女子が好むようにしたてたゲイのパロディであり、さらにそれをパロディにしてネタにしてるわけですから、無邪気にゲイをそのままネタにしてる他のAge芸人らと異質なのは当たり前ですよね。パロディが二重になっているわけですから。そして需要者層を的確にとらえている。
なにせBL消費者は圧倒的に女性が多い訳ですから、そこを狙うには彼らの視点は女子の視点(欲望)に近づける必要があるでしょう。男からみたゲイではなく、女子から見た、女子が見たいBL的ゲイにならないといけない。女子と視線を共有したネタという意味では、男子から見た女子(アームストロングOLコントなど)という感じではなく、自虐的なギャグ少女漫画っぽいキャラクターを演じるメルヘン倶楽部もいますし、なんだかおもしろい人達が出てきたなあと思います。

御茶ノ水男子は、戦隊オタクでありかつてアクション俳優をしていたしいはし氏とアニメーター歴を持つ佐藤氏からなるコンビなので、オタクカルチャーを熟知してそっからネタを作っている訳です。どうしたら客に受けるかというマーケティングをする制作者側としてと、消費者(オタク)としてのフィルター両方を通していて、ネタの濃度がちがうんですね。
おもしろいなー。

実際腐女子やお笑いオタがBLネタとホモネタの違いを自覚しているかはさておき、なかなか面白いコントラストだなと思いました。楽しければどうでもいいと思ってもいますけどね。(ゲイは自称、ホモは他称なので、厳密にはホモネタとしたほうがふさわしいかもしれません。)

にしても初めて(?)女子の屈折した需要を堂々と狙ったコンビが出てきたな。と。御茶ノ水男子はルックスも上々で、そういうとこも漫画っぽさに拍車をかけますが、これから人気出そうな気がします。
狙いがあざといからいやがる人もいそうな気はしますが。

メルヘン倶楽部も奇妙に人気がありますし、ちょっとしたブームにはなるかもしれないと思っております。メジャー人気が出たら、なんだかんだとテレビなどの公共電波にはあまりのらなかったBLが、あくまでもホモネタとは違うBLとして広まるわけで、どうなるか楽しみです。

ちなみにしずるや、ライス(ホモ9期とかいわれてますね。)は、あくまでも芸人社会などのホモソーシャルな社会を、文脈をちょっとずらして、ホモセクシャルに見せているという感じなので、やはりBLとは違い男性視点から発していると思います。

青春コントというジャンル自体が、実はホモソーシャル自体をテーマにしているのかもしれません。思春期、青春期というのは、えてして社会がホモソーシャルなものになりがちです。ホモソーシャルな青春の有様に、そこには介入できないもう一方の性別があこがれる。そのホモソーシャルな青春をネタにするというそのことだけが、細部は違うのにも関わらず、しずる、フルポン、はんにゃをひとくくりにさせてしまう要因かもしれません。

なんかだらだら書いてしまった。ハリケーンズに関してはネタを見たことがないので、触れませんでした。あと、男性視点、女性視点を明確に異なるものとして書きましたが、あくまでも図式を簡易化するためです。曖昧な視点ももちろんあると思います。

追記:ブログを見た感じだと、御茶ノ水男子メルヘン倶楽部は結構仲良しみたい。メルヘン倶楽部は自分らの名前をいうジングルみたいの、御茶ノ水男子はネタ最後にBLコントっていってしめるジングルがありますね。ネタのクィア性だけじゃなく、なんだか共通点がたくさんあるね。

(kagariさんが書かれた記事のキャラクターについての考察も参考にしました。ありがとうございました。
http://oet.jugem.jp/?eid=321
kagariさんはキャラクター性のところで、芸人がトランスジェンダーすることについて指摘していますね。コントは役を演じるものですから、異質なものに憑依される度合いというのはとても重要なファクターですよね。
ちなみに私が漫才要素分解のとこで言っているキャラクターはあくまでも漫才師自体のキャラクターについてで、変化の度合いではないです。漫画や物語で、いわゆるキャラがたつと言われるような、特徴があるかということです。例えば容姿の特徴であったり、話し方であったり、性格であったり。キャラクターについてはまた詳しく触れます。多分東浩紀を参考にしつつ。キャラクター一つとりだしても、どういうふうにとらえるかというのは随分異なってくるもんですね。コントと漫才ではキャラクターの意味合いも異なるみたいだし。)