お笑いをサポートするということ(LiveinTokyoさんへのアンサー編)

id:LiveinTokyoさんが、「グーグル化するお笑い。」という面白い記事を書いていらっしゃいます。
http://d.hatena.ne.jp/LiveinTokyo/20090604/1244108854
ちょこちょこコメをして、長いお返事をいただいていたのですが、またしてもアンサーが長くなりすぎてしまったので、こちらにあげます。ブログ対談しすぎ!私!

ちょっと私には簡単に記事がまとめられませんので、まず上記の記事および、コメント欄をご覧になってから読んでください。私は文化保護という観点から考えてみたいと思います。

様々なものがグーグル化する中で、市場原理の中で笑いが取捨選択されていくとした場合、消え行くものを保護すべきなのだろうか、と考えてみたのですが、これはお笑いを文化として保護すべきか、という問題になってくると思うのです。要するに市場原理ではない価値観を導入し保護すべきかということです。これは私がうっすら考えている、お笑いのサポート、パトロンなどの問題について関係するので、ちょっと私の専門に絡めて考えてみます。いずれ、この問題はまた書いてみたいと思います。

「市場として成立してないものを保護すべきかどうか」は難しいですよね。いやらしい言い方ですが、日本ではハイカルチャーは保護すべきだという方向で認知されていますが、ローカルチャーはなかなかそうはいきませんよね。私はそもそもこのようなハイロー区別自体が既に幻想だとは思っていますが、実際に保護すべきか否かというような議論をする際には、おそらくそういった価値判断を基に保護するかどうか決まっていますよね。

しかしアカデミックな業界でも、すぐに利益に結びつく研究には補助金がでても、基礎研究にはなかなか出ず、おろそかになる、というような傾向もでてきていますし、実際は、一見直接的な市場価値のないものは、切り捨てられる傾向があるのは否定できません。

私はやはり、文化保護のサイドに近い人間ですので、どうかどうか消えないで!と思ってしまうのです。あくまでも私のスタンスとして、文化は保護すべきかどうか問う以前の問題で、問答無用で保護すべきだと願うのです。

ただ、最初に述べた理由で、文化保護の概念はまだまだお笑いにはあてはまらないでしょうね。だから吉本などの企業の良心に期待してしまうのです。(若手を大事にして!と)お笑いが生ものであるがゆえに。現状では、お笑いは市場原理で取捨選択、芸人も消費されているわけですよね。辛うじて保護されているのは落語くらいですもの。それはなんだかとても切ないのです。

ちょっとまた横道にそれますが、日本の文化事業を保護しているのが、まだまだ主に政府あるいは新聞社、最近ではToyotaなどの一部企業だというのも問題なのだとは思います。例えば米国では、減税されるというメリットもあるために、様々な文化事業へ様々な企業が寄付をし、そのことによって成立している文化事業がたくさんあります。(Fund Raisingという概念で、美術館などの様々な文化事業団体は、専門の部署をもち、運営のための寄付金獲得のために努力しています。)おそらくはこのように、保護する側が拡散し、政府が独占している状態をさけることができれば、また寄付する企業も多様化すればお笑いという表現の自由と、保護ということが両立するのではないかと思います。そうすれば吉本自体のように自給自足でまかなえない団体にも生き残る道はあるのではないか、などと夢想します。とはいうものの、米国でも寄付団体大手ってのはやっぱりあって、そこの影響はでかいんですよね。なかなか資本元を分散するのは難しい。しかしこれはチケット収入、テレビなどからの収入が乏しい場合の生き残りの手ではあります。企業側にもイメージアップや、宣伝効果、減税などのメリットもあるのでアメリカでは、成立しています。日本ではこれからの考え方なので、お笑いへ転用するのはまだ遠い未来のことになりそうですが。

(またまた横道ですが、企業がどかんと自社イメージアップや、宣伝効果を得るために文化に投資するというのはありだと思っていたので、その試みとしてS-1には期待していたのですが、どうも反響など今ひとつのようですね。)

となると、LiveinTokyoさんのおっしゃるように、現状で出来るのは、Liveに行って、生身の人間のパフォーマンスを感じること、そして色々な意味で主体的に参加することでしょうか。オンラインを見ていて思うのは、やはり客がいないといまいちな芸人も多いということ、ライブでないと伝わらないものもあるということです。ライブに赴き、笑うというそのこと自体が、するどい批評であってサポートなのだと、私も思います。"Media killed the comedy star"にならないためにも。

追記:PV挿入してみた。この曲大好きなんだな。
So nerdy! So neat!