ド・シュール

今回のチーモンの単独は意図してかしないでかわかりませんが、ほんとにシュールでした。不可解なままで終わるっていう意味で。そういうの大好物なんでちょっとつきぬけっぷりに感動すら覚えましたが、なんだか周りには不評のようでちらちら「えー?」って言われて終わってるネタがありました。

どんなネタやったか羅列はしませんが、例によって記憶に残ってるものについて書きますね。

気になったのは、「どっきり」のネタ。
コントなんですが、菊地氏が白井氏にどっきりにひっかけられて、ネタばらしをするとこからコントが始まります。菊地氏があれもどっきり?これも?とどんどん白井氏に聞いてくんですが、白井氏の答えはとってもトンチンカン。覚えてるとこだと、「あの5千円のコーヒーどっきりですか?」「いえいえ、値段は正規です。でも麺つゆだったんす。」とか。
なんかこういう風に、質問にたいして、「それは違う。実はこうなんです。なんで気がつかないんですか?」とどんどん文脈をずらしてくんですよ。それで最後のオチ?は「あなたも菊地浩輔じゃないんす。」「あなた誰ですか?」とか、確か言って、菊地氏が「えー、もうなんなんだよ?」って言っておしまい。
流れをちゃんと覚えてなくて、旨く説明できないんですが、存在論的な問いかけでしたよ。で、正直オチはあるようでないようなチーモンお得意の消化不良系。多分もうやらないと思う。このネタ。使い勝手わるすぎるものw

なんかね、こういう妙に哲学的な問いかけで、答えを出さずに終わるってのが二つもあって、お笑いを見てるのに、胸がざわざわする感じでした。

で、もう一個あった哲学系。

チーモン白井氏が質問太郎in子供用着物になって、おじいちゃんに色々素朴な疑問をぶつけるっていうネタです。基本的には大喜利に菊地氏がうまいこと答えるっていう感じだったんですが、ラストに「人はどうしてうまれてくるの?」という白井氏が問いかけるとBGMが流れ、菊地氏声を出さない状態で説明してるマイムをし、白井氏が「そっかー。」(うろ覚え。)と言っておしまいっていうのがありました。

これもさー、ものすごく哲学の基本の基の問いかけでさー、それをなんのてらいもなく聞いちゃうところに、なんというか白井氏の子供らしい創造の秘密をかいま見ちゃうというか、そういう感じでぐぐぐーっときちゃったですよね。
ちょっと泣きそうになった。なんかあまりにも素朴な問いに。

この二つが一番印象的だった。正直笑えるか?っていうと、方向性はちょろっとずれてると思うんだけどね。でもそういうのが大好きなのだ。

最近の漫才ツアーはすごくネタを練ってるのはわかったけど、この胸しめつけるような感覚を得ることは全然なくて物足りなかったので、久しぶりのチーモンワールドならではの手触りと胸のひりつきを覚えたので、とてもとてもうれしかったです。

漫才だとね、菊地氏が不思議な世界を消化可能な形へ誘導して説明してくれるんですよ。だけどコントだと、どっちも登場人物なので、世界がぐるぐる渦を巻きだしたまま、放置されるんですよね。そこが好き。だから漫才もいいけどチーモンのコントがすごく好きです。

今熱に浮かされてますので言ってしまいます。チーモンは天才だー。