ポップなB級ホラー

今日の無限大AgeAgeスペシャルライブのチーモンチョーチュウのネタを見た。

やー、B級ホラーでしたねー。(以下ネタばれあり。なんらかの手段で見ようと思ってる人は見てからにしてね。)


これはもともとターザンのネタだったのかな?をちょっとアレンジした2分くらいのショートネタでした。高校野球のサイレンの真似をえんえんやるっていう。白井氏のハイトーンボイスを駆使して「ウウウウゥゥゥゥーーーン」ってサイレンを真似してそれに菊地氏が「声がたけーよ。」ってつっこむ。で、途中で菊地氏が白井氏をこしょばしたりする。白井氏が(体とか内臓が)「ぐしゃぐしゃになったらどうすんだよー。」とか返したりする。そんな感じでちゃちゃいれつつ、最終的には菊地氏まで白井氏みたいになってしまい、苦しそうに苦悶の表情をうかべ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」と叫んで二人して「ありがとうございましたー」とお辞儀しておしまい。


このぶつっと終わる感じ。この中途半端さが面白いのはほんとにチーモンならではだーと思います。そして、きっとなんとなく成立しちゃってるのは、パフォーマンスのうまさとキャラの生かし方がおもしろいから。声の出し方がおもしろいし、本来奇人白井氏を軌道修正するはずの菊地氏がいつのまにかおかしくなるっていう本来の役割分担をこわすというキャラを生かしてこその裏切りのある構成が◯。
(笑いにおける枠組みとしてパフォーマンスとキャラはきっとネタの内容と同じあるいはそれ以上に重要になってきてるかもしれないですね。これについてもいずれもうちょっとつっこんで考えてみます。)


そして、このネタが荒削りで、長いネタを一部抜粋してるからこそ二人の個性ありきだっていうのが明らかになる。もともとチーモンのネタってオカルトというかホラーっぽいとこが面白いなーと常々おもっているのだけれど、このネタの最中に白井氏がくすぐられたら体がぐちゃぐちゃになるって言うのとか、いちいち発想がぐろい。そもそも出だしが声で鼓膜がやぶれるとか。しょっぱなからなんか暴力的。ちゃんとオチないからなんとなーくグロイ、なんか変だなって感じだけ残る。二人のネタのオカルトっぽさと白井氏=奇人で子供、菊地氏=保護者で器用なキャラがより際立って、(いつもより菊地氏が子供っぽくなってるけどね)ネタの尺が短い分ディテールのホラーっぽさが目立つみたい。


ちなみに、こういうのを見る度に、白井氏はB級ホラー映画のヒロインみたいだって思います。お化けとかモンスターに追いかけられて恐怖に顔をゆがめスプラッタに殺される主人公にぴったり。B級ホラー映画って怖いけどなんかチープでどっか笑える。チーモンってそういう世界観。白井氏は殺されたあと、さらにゾンビとかとして生き返って喜々として殺戮を繰り返したりなんかしてもはまりそう。


あと、忘れちゃいけないすごいとこは、ほっといたらホラーになりそうなのにちゃんとポップなとこ。本人たちがポップであることを意識してるみたいですが、その辺のさじ加減は絶妙ですな。たしか、いつかの無限大でチーモン唯一のコントである部活の走り込みネタ(訂正:コントにはお昼のトークショーもありました。単独公演でも色々やってるみたい。不勉強で失礼しました。)で二人で「ファイッ」「オーっ」て掛け合いをするときにそんなこと言ってました。白井氏が「ファイッ」って言った後、菊地氏がいろんな物まねとかして「オー」で返すんですが、それがちょっとマニアックになると白井氏が「もっとポップなこといってー」とかって言ってましたし。


ホラーでポップ。


このバランスが実に素晴らしくってチーモンチョーチュウはすごいなーておもいます。

で、なんでポップでいられてるのかとか、菊地氏がすごいとかは次のエントリに続きます。