ハプニングとしてのよしもとオンライン考☆

今日はチーモンから離れてよしもとオンラインについてちょっと考えてみようかなーと思います。
(http://yonl.fc.yahoo.co.jp/)

私は本当に今よしもとオンラインという新しいメディアでの放送にとても興味があるのでね。
で、多分二つのことが大事なのではないかと気がつきました。

それはよしもとオンラインにおけるメディアスペシフィックあるいはサイトスペシフィックな暴走。そのハプニングのあやうさとおもしろさ。です。

まずはメディアスペシフィックについてすこし。
このオンラインストリーム放送特有のリアルタイムで、かつ掲示板を通して相互コミュニケーション可能という性質がなんなのかということです。

本当にこのよしもとオンラインを見ている時の独特の高揚感はなんなんだろ。それはもちろん、掲示板に書き込めば即座に芸人に見てもらえるかもしれないという期待と、今この時に同時に芸人と何かを共有しているといるんだ、いま同時にパソコンに向かってるんだ、コミュニケーションが取れるんだという喜びからきているはず。そして、なによりもラジオでは不可能な、眼差すということが可能だからだと思う。(私が書いた書き込みを見ている芸人をさらに見ている私という入れ子状になった視線の快楽とでもいうか。)

不特定多数の人が見ているのは分かっているけれど、それでも今このパソコンの前には私一人。私一人が、画面の中の芸人を見ることによって所有することが出来る様な錯覚。(むろん芸人のまわりにはスタッフもいるのは分かっているけれど。)そして、彼らは私が書いた私の思考を見ていて、一瞬私の思考共有してくれさえする。そんな体験が独特な満足と渇望を生んでいるみたいだ。(もちろん書き込まない場合もあるだろうが、あの笑スタへの書き込みの量をみていると、どうもこのメディアは観ている側に掲示板に書き込むというアクションをとらせる力がとても強い様なので。)そしてちょっとしたハプニングがおきたりする。


さてさて。一つのちいさなネット上での事件のお話。
1月7日のライセンスのよしもとオンラインの放送で、彼らは後輩芸人ジョイマン高木のブログに書き込みをした。そしてライセンスは、それに対するリアクションが放送を見ているファンからあったか、後で確認すると言った。そうすると、おそるべき量の書き込み(600くらいだろうか)が、それはもう荒らしなんじゃないかっていうくらい書き込まれたのだ。これはまさに、「私が書いた書き込みを大好きなライセンスに見てほしい(私の残した痕跡を見られたい)」「そしてそれを見ている彼らを見たい」というファンによるバーチャルな所有の欲望が暴走してしまったからに他ならない。
(実はこの事件の契機自体が双方向性ゆえ。まず数日前の放送でジョイマン高木がライセンスの名前を間違えたとのたれ込みが掲示板であり、それをみたライセンス井本が、ジョイマン高木のブログに怒ったふりをして眼鏡割るぞと脅しを書き込むといういたずらをしたのだ。すると、ファンからジョイマンへの「逃げてー」という書き込みが二人がブログをいじっている間から殺到。そして、それを見て二人がさらにあおったものだから大変な数の書き込みがされたというわけだ。
参考 ジョイマン高木ブログ
http://joyman18.laff.jp/blog/2009/01/post-cf14.html
よしもとオンライン公式ブログ
http://yonl.fc.yahoo.co.jp/index.php?itemid=32
どうでもいいですが、このブログの更新してる人はちょっと能天気すぎる気もしますねー。)



そしてもう一つ。サイトスペシフィックなハプニングについて。
きっと双方向性がこのメディアのもっとも重要なファクターなんだろうと考えていたのだけれど、昨日(1月12日)のしずるの放送を見ていて、もう一つ大事なファクターがあることに気がついた。これはただの双方向性同時性のあるオンラインストリーム放送ではないんだ。あたりまえだけれど "よしもと" オンラインなわけで、"よしもと"という会社の芸人さんが、"よしもと"本社というところでやっているっていうことがものすごく大事なわけです。つまり、そこでしか起こりえないことが起きる(サイトスペシフィック)という意味で。


それが端的に現れたのがしずるのオンライン放送だったと思う。しずるのオンライン放送中、オリラジ藤森や、少年少女、さらには出てほしくないといっていたライバルのフルーツポンチの亘さえもがアポ無しで出演したのだ。そしてそれがなんだかおかしかった。前回の放送では退屈な時間が長かったしずるのよしもとオンラインが、突然いきいきとしだしたので正直おどろいた。

重要なのはよしもとオンラインはメディアスペシフィック(そのメディアにとってのみ可能な、特定のということ)つまりは双方向性のあるメディアだというだけではなく、実はサイトスペシフィック(ある特定の場所でのみ可能)なイベントなのでもあるということだ。よしもと本社という特殊な場所だからこそ、たまたまそこにいる他の芸人が乱入することができる。打ちあわせやら、ネタ合わせやらで本社に来ていた芸人がちょろっと挨拶がてら出演したりするのだ。そして、よしもと本社という芸人たちが日々何かを生み出すために向かうその場所で行われるということがより臨場感を高めているわけだ。
これが実はとても大事なのかもしれない。日々、こういう風に芸人たちが交流しているのだろうというのを垣間みることもできる。そして、不意をついた訪問は番組パーソナリティの素の姿を覗き見させてすらくれる。たのしいサプライズだ。



これまでの放送で面白かったのは、コンスタントなトーク力があるMC(ついでに、以前触れた親密さファクターもあるとなおよし。)そして、ネットの特性を生かしたコンビ、あるいはよしもと本社ならではのハプニング(つまりは乱入)が起きたコンビなんだなーと思った。


さて、よしもとオンラインにたいしてのメディアスペシフィックな観者の欲望の暴走、そしてサイトスペシフィックゆえの演者の暴走という、この二つのハプニングを御することができるプレイヤー(仲良しであることが望ましい)は果たしてうまれるでしょうか。